シャトー・ムートン・ロートシルトのエチケット(ラベル)
こんにちは、クラージュワイン会・金岡です。
今日は、高級ワイン五大シャトーのうちの一つ、シャトー・ムートン・ロートシルトについてお話しします!
まず、五大シャトーとは、シャトー・ラ・トゥール、オーブリオン、ラフィット・ロートシルト、マルゴー、そしてムートン・ロートシルトからなる世界トップクラス・シャトーの事をいいます。
この五大シャトーの格付けは、1855年のパリ万国博覧会でフランスのボルドー・メドック地区にて第一級の称号を与えられましたが、シャトー・ムートン・ロートシルトのみ、1973年に第二級より第一級に昇格しました。
その際に、フィリップ・ロスシルド男爵が残した 「ついに、われ第1級なりぬ、かつて第2級なりき、されどムートンは昔も今も変らず」という言葉には、彼のムートンに対する自信と誇りが感じられます。
そして、ムートン・ロートシルトにある大きな特徴は毎年著名画家にエチケット(ラベル)をデザインしてもらっている事です。
ムートン・ロートシルトが最初にラベルデザインをお願いしたのは1924年のことで、ポスター画家ジャン・カリュが手がけました。正式にラベルデザインの企画がスタートしたのはそれから21年後の1945年になってからです。
制作するデザインに関してはアーティストに自由に与えられていますが、ぶどうやワインを飲む喜び、またムートン・ロートシルトのシンボルである牡牛をテーマにしたものが多いです。
今では、ミロ、シャガール、パブロ・ピカソ、フランシス・ベーコン、サルバドール・ダリ、キース・ヘリング等数多くの時代を象徴する巨匠アーティストのラベルデザインの作品を鑑賞することが出来ます。
このラベルは芸術作品のひとつとしてコレクターも非常に多くいるのですが、その中でも特に興味深いのが1993年のバルテュスのラベルです。
バルテュスはピカソをして「20世紀最後の巨匠」と言わしめた画家で、主に少女のモチーフを好んで描き、「子供と大人の間にいる移ろいやすい状態の儚さ」を表現する事にたけていて、ムートン・ロートシルトのラベルも少女の裸体をデッサンしたものでした。
ところが、アメリカでこのエチケットが物議を醸しアメリカでは1993年のムートン・ロートシルトのワインを販売出来ないという危機に陥ってしまいます。そこで、苦肉の策としてエチケットの上部分が白紙のエチケットが採用されました。
なので、1993年だけ2種類のムートン・ロートシルトが存在することになってしまい、コレクターは両方集めるのに大変苦労したようです。
ちなみに彼の奥さんはなんと日本人の節子さんという方で、バルテュスの2年前に日本人として初めてムートン・ロートシルトのラベルをデザインしました。夫婦でラベルをデザインしたのもバルテュス夫妻だけです。
ワインの味だけでなく、エチケットから見てみることも非常に面白いですね。
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